京阪京津線のクオリティが高すぎる件について

石山坂本線700形@浜大津付近

今日は弟の世話をするという名目で大津周辺を散々うろついておりました。「弟を一日預かる」と云ったところ、非常にあっさりと親から金が出てしまったのです。
そうなれば話は早いわけで、要はやりたい放題やってしまったわけなのです。


トロトロと走る満員のバスにイライラしながら枚方市駅に到着し、9時半発の9000系特急で目指すは京都。京阪特急は3000か8000じゃないとヤダヤダ・・・って方は結構居られるようですが、私は毎日のように221系や223系に乗っているせいで転換クロスシートに変な耐性が付いてしまったため、こういった車両が来てくれた方がむしろラッキーなんですよね。

鳥羽街道で少し走行写真の撮影をした後、三条へ。京都、と聞くとすぐに「このか」やら「神鳴流」といったワードに条件反射で発想が繋がっていく私は既に末期症状。

そんな事を抜きにしても個人的に私、京都という街の持つ独特な雰囲気や空気感といったものがかなり好きでして。そんな街へ電車や自転車で簡単に行くことのできる距離に住んでいる、というのはかなり幸福なことだと思っているんですけどね。


京阪三条の事務室で「古都湖都1dayフリーパス」を購入後、地下鉄東西線に。

このフリー切符、京阪京津線石山坂本線全線が乗り放題というもの。値段は大人500円・学生400円・子供250円とかなり親切な設定。少し乗っただけで軽くモトが取れるという算段です。
しかし、いまどき「学生」料金の設定があるフリー切符なんてのも珍しいですよね。


スルッとKANSAI三条京阪の改札にぶち込み、程よく空いた東西線電車の客に。私が今使っているスルッとKANSAI神戸市交通局発行の「こうべカード」、これで京都市営の地下鉄に乗っているというのは少し変な気分にならないこともないです。


フリー切符の制度上、御陵で下車。一旦改札を出た後、再入場。次に乗る電車からフリー乗車のスタートです。

ここ御陵は面白い構造の駅でして、六地蔵/浜大津方面がB3F・二条方面がB2Fというように、電車の行き先別の2層構造となっています。無駄に金かけてるなぁと云う印象もありますが、京阪京津線が分岐するために仕方なくこのような構造になっているわけで。


やがてやってきた浜大津行きに乗車。800形の4連、車内は座席がざっと埋まる程度の乗り具合です。

御陵を出て間もなく電車は勾配を登り、地上へ。急カーブしてJR東海道線の下をくぐり、込み入った京町家の軒先をかすめながら走っていくと山科です。

電車は前方に立ちはだかる逢坂山に向かって、ほぼ西から東へと真っ直ぐに走ります。四宮を出た辺りから徐々に勾配がきつくなり、横に国道1号が沿い始めるころには周囲の景色は一気に山間の様相。

窓の外を平然と通り過ぎていく「40.0‰」と書かれた勾配標。最大勾配は60‰を越える京阪京津線、もはやこれは登山電車。線路は右へ左へと激しくうねり、特に厳しいカーブの地点では磨耗防止の為かスプリンクラーが作動しています。


そんな路線状況にも全くへこたれる様子も無い800形。50‰を越えるような登り勾配を、加速しながら物凄い勢いでグイグイ登っていきます。これほど急な勾配を登りながら加速できる電車など、そうは居ません。40‰の上り勾配を70km/h超の速度で走る姿には、驚きを通り越してもはや呆れの域。

加速性能も凄い、減速も凄い、登坂性能も凄い。15m級の小柄な車体ながら1両当たりの製造費は2億。ダテに金をかけてるわけじゃありません。

要するにこの800形1編成分の値段=223系8連1本分の値段、なわけで。一両あたり単価は2倍。


大谷トンネルにさしかかったころ、ようやくサミットを越えた電車は下りにかかります。ブレーキを利かせながら、急坂を転がり落ちるように進んでいく800形。名神高速のアーチの下をくぐり、天下の国道1号線を踏み切りで横切って上栄町浜大津へはあと一駅です。

その上栄町を過ぎると、電車は何と道路上に進入していきます。先ほどまで急勾配をグイグイ上り、その更に少し前までは地下鉄線内を走っていたはずの電車が、今度は路面上を走っていくのです。もはや何でもあり。ここまでくると、次は琵琶湖の湖底あたりを走ったりしてそうでちょっと怖いです。

4両編成で全長60m以上にもなる電車が、悠々と道路上を車と一緒に走っていきます。シュール以外の何物でもない風景。

やがて大きく右にカーブすると、電車は終点・浜大津のターミナルに吸い込まれていきます。


この後上栄町〜大谷間を1時間ほどかけて歩きつつ撮影を行った後、今度は石山坂本線の方へと足を伸ばしていきます。まずは坂本へ。

湖西線に沿うようにして走る石山坂本線の電車は、青々と広がる田園地帯の中を進みます。
車窓に目をやると、田園と高架の湖西線の向こうには琵琶湖が水を湛えながら広がっていました。不意に湘南色113系湖西線の高架線上を横切り、ぱっと彩りを添えて去っていきます。湖の向こうには近江富士がポツンと聳え、目を引きます。
天気は上々。気持ちの良い風景の中を2両編成の電車は軽快に走り、坂本へ向かいます。


坂本からはすぐ折り返し。石山寺まで乗り通し、ひとまずはフリー切符区間の完乗達成。

瀬田川沿いを散策して、15分後の電車で石山寺を後にします。7.5分間隔で1時間当たり8本の運行というフリークェンシーサービスの成果が出ているのか、電車は各駅で細かく客を拾っていき、経営が苦しいという印象はさほどありませんでした。路面電車のようなアットホームな雰囲気も随所に感じられ、乗っていて非常に気持ちの良い路線です。


浜大津からは再び京津線で山を登り、御陵へ。来た道をそのまま戻るのもつまらないので、ここは”関西で一番新しい路線”こと醍醐〜六地蔵間へ足を踏み入れることにします。これで京都市東西線も全線走破完了。


六地蔵駅の「乗り換え駅」とは名ばかりの遠い地上連絡に辟易しながらも、続いては京阪宇治線。一旦宇治へ戻ったのち、中書島へ向かいます。この電車が中書島に着いた時点で、やっと大津地区を含む京阪電車の全線走破が完了したことになります。わりあい近くに住んでおきながら、実は今まで宇治線に乗ったことがなかったわけで。

ほぼ同年代に製造された奈良線103系と併走しながら住宅街の中を進み、中書島着。特急は混んでいてだるそうだったので、後続の2400系準急で枚方市へ帰還。


最後のバスは枚方車庫では少数派のエアロスター改でちょっと得した気分・・・。