12/19加古川線電化開業・初日レポ

(これからレポート・旅行記などをここに書く時は語調が「ですます調」ではなく「だ・である調」になります)


なぜか前日8時に寝てしまったので起床は四時。余り優れない体調もそこそこだったので行けると判断、早速ネットで情報収集しつつプラン立て。30分ほどで大まかな行程を決定。


長尾7:30発の快速宝塚行きで出発。
学校に行く以外の時は大体京橋乗換え〜大阪、のパターンが多いのだが、今日は撮影の関係で尼崎まで直行。
尼崎駅3,4番ホームの東端、大阪寄りで福知山線経由香住行きのキハ65改造「エーデル&リゾート」車の特急「かにカニ北近畿1号」を狙う。


尼崎駅のこの場所、2番線に入る福知山線列車を私の持っているようなコンパクトデジカメでもズーム3倍程度で手軽に撮れるいい場所。更に、三脚が無くてもフェンスと体を使ってカメラを支えればブレ対策が可能なため個人的にかなり好き・・・なのだが、ここで定期列車以外のモノを撮るのは本当のところ初めて。かなり緊張。
しかも、この時間帯だとこの場所は逆光。この辺りの線路は東西に伸びているので、順光になるのは午後から・・・これは辛いかもしれない。

事前に来た「北近畿1号」で練習。
ん、183系6両の北近畿がバッチリ画面内に収まってる。上下左右の均整もこれなら合格点。
そのあとの先頭2両が国鉄色の「かにカニはまかぜ」は傾いてしまい失敗。気を取り直して「かにカニ北近畿1号」。
が、来たのは6両ではなく4両。6両だとばかり思い込んでいて、先ほどの北近畿のときの位置に構えていたカメラを急遽修正。何とか撮影・・・。


撮影後すぐに8:37尼崎発の普通西明石行きに飛び乗り、一駅先の立花で下車。定期で改札外に出る。長尾〜住吉の定期は便利。

財布が見当たらなかったため、尼崎までの120円切符を今使ったばかりのICOCA定期で購入。気が付いたらICOCA残金100円。


再びホームに戻ると、向かいを物凄い勢いで223系の快速がぶっ飛ばしていく。いつも快速に乗っているとこの区間は120km/hの全速走行なのだが、外から見るのは余り無いのではないだろうか。2M4TのJ編成だからか、かなりの音。

やってきた201系普通に乗り、芦屋。すぐに接続の新快速に乗り換える。
12両編成なので、この時間の新快速にしては空いている。途中駅からの乗車なのにもかかわらず、車両端部のボックス席窓側に座ることが出来た。こんな事は滅多に無い。
前4両は「赤穂レジャー号」として播州赤穂まで直通するが、私の乗っている後ろ8両は姫路止まり。先ほどまで横で猛威を振るっていたテニスサークルのオバチャン達は三ノ宮で消え、他の客も減って車内は新快速にしてはガラガラになる。オバチャン達が座っていた海側ボックスが空いたので、そちらに移動。
2人掛けの転換クロスシートに1人ずつしか乗っていない。普段の新快速からすると考えられないほどの空きっぷり。


冬の朝特有のボンヤリとした光を浴びる明石海峡を望みながら順調に飛ばし、明石。更に人が減る。向かいに座っていたお姉さんも降り、4人掛けボックス席に座っているのは自分だけ。
余りにガラガラなので差し支えないだろうと思い、靴を脱いで向かいの席に足を投げ出す。勿論、アーバンネットワークの新快速でこんなことをやらかすのは初めてである。快速でなら何回か経験があったと思うのだが。

かなりくつろいだ体制で景色を見ていると、すぐに加古川。今日から供用を開始した加古川線の高架が進行方向右側から寄り添うようにやってくる。


下車。
と、ドアが開くと同時に各車両からわらわらとヲタが降りてくる。しかも皆、揃いも揃って一斉に走り出すではないか。そんなに急がなくても。

加古川線ホームを見ると、開業式典が既に始まっている。その向かいのホームにはヲタと報道陣が”人間の壁”を作っていて、既に写真撮影どころの騒ぎではない。


その壁も後部に行くと大分隙間が空いているので、そこに入れてもらう。クス玉が割れるのが僅かに見えたが、ここは相当離れていて写真を撮れるような場所ではない。

少しの間隔を置いて、9時42分、定刻に2両編成の新型電車125系が静かに走り出す。先頭には「加古川線 祝 電化開業」の大きなヘッドマーク
少々慌しいスタートではあったが、今日からこの路線の主役は近代的な電車になることを知らせるには十分なものであった。
祝賀列車の厄神行きは、2両の車内にすし詰めの乗客を乗せて急カーブの向こうに消えていった。


私が乗る予定の電車は加古川12:42発の西脇市行きなので、それまでには相当な時間がある。
とりあえず色々な消息筋からこの後「厄神の車庫に残っているキハの回送が厄神〜加古川〜大久保〜網干のルートで行われる」ことを知っていたので、加古川駅3番ホームからそれを狙う。
この加古川駅3番ホームは来年3月のダイヤ改正までは使われることが無いため、電車は「絶対に」来ないので安心して撮影できる。カーブの向こうからやってくる加古川線電車を捉えるもよし、ポイントを渡る電車を撮るもよし・・・と狭い割に様々な構図が可能。


ここで103系125系など数本の加古川線電車を撮る。どの電車もすし詰めで、ある電車などは10分近く遅れて到着した。他の電車も、数分遅れがデフォルトの状態が続く。
どの電車も125系なら単行、103系なら2両編成の基本編成のみでの運転。電化初日で乗客が殺到することは目に見えていた筈なのに、どうして増結の対応が取れなかったのだろうか。
以前、小浜線の電化開業の時も今日と全く同じ現象が起きていたと聞く。JR西日本は前回の反省を生かしきれなかったのか。
厄神にある車庫にまだ所定両数の電車が揃っていなかったとはいえ数本程度の予備車は居たはずで、125系での運用を103系に振り替えたり、103系2両の運用を4両にする程度なら可能だったのではないだろうか・・・


と思っていると、本命のキハが登場。カーブの向こうからゆっくりと姿を現す。

1両、2両、3両・・・長い!堂々、4両編成が加古川駅の高架ホームにゆっくりと入ってくる。緊張でカメラを握る手につい力が入るが、逆光のもと何とか撮影。

撮った後すぐに、4両編成全車が緑色に白ラインのいわゆる「加古川線色」で揃えられたキハ40・47が、自動ブレーキのエア音を響かせながら目の前をのっそりと通り過ぎていく。
この車両が加古川駅加古川線高架ホームに入るのは、恐らく最初で最後になるのだろう。


このキハ達の加古川発車〜本線へ転線、までには30分程度あるらしい。先ほど撮った場所と同じホーム端で、暫く待機。同業者は軽く30人、いやそれ以上いる。
が、ここは比較的のんびりしたもので、かなりの方々が譲り合って各々の撮影場所を確保しているようだった。

発車が近づいたようで、キハのライトがロービームからハイビームになる。
緊張が走る一瞬。途端に静かになる一団。


やがて勇ましいエンジン音とともに、香ばしいエンジンの排気を残して4両のキハ40・47は加古川駅を後にする。
この車両が加古川線に戻ってくる事は、もうない。


今行ったキハ4両はここ加古川より大阪川にある大久保という駅まで行ってから一旦折り返し、網干に向かう。
そのため、昼前には再び加古川駅を通過することになる。その通過を撮ろうと、今度は加古川駅下りホームの東端に移動する。
最近、どうも停車写真より走行写真の方に憧れてしまう。私の持っているようなコンパクトデジカメでは無理な話なのだが・・・
このとき、私のすぐ近く(恐らく隣)に「Urban Information」の管理人のかつお節さんも居たらしい。よくお世話になっているサイトなだけに、挨拶しておけばよかった。と言っても、顔すら知らないのだが。


コンパクトデジカメで3倍ズーム限界まで伸ばし、体と柵でカメラを固定。
本命のキハ通過前にやってくる新快速や貨物列車などで、軽くウォーミングアップを図る。何とかブレずに撮れるようだ。


構えてからどれほど時間がたっただろうか。誰だったのだろうか、「来た・・・」と呟いたのは。

向こうを見ると、カーブの彼方に2灯のヘッドライト。目を凝らしてみると、確かに緑色をしている。先ほどのキハが戻ってきたのだ。

4両のキハが、かなりの速さでこちらへと近づいてくる。


・・・速い。先ほど撮った貨物列車など比ではない。
一体何キロ出しているのだろうか。フルスピード、最高時速95km/h一杯で突っ走っているようだ。

駅に接近しても全くスピードを落とすことなく、物凄い勢いでこちらに近づいてくる。

今、と思う一瞬でシャッターを切る。チャンスは一回のみ。
シャッタースピードさえ調整できないコンパクトデジカメには、連射機能などという気の効いたものなどない。


シャッターを切るとほぼ同時に、真横を物凄い地響きと轟音とともに4両の鉄塊が駆け抜けていった。


画像チェック。・・・良かったー、何とか撮れてる・・・

現地で会った知り合いの加古川人が「あんな速い加古川線、見たことねぇ・・」と絶句していたのが印象に残った。



その後、12:42の加古川線電車に乗るべく中間改札を通り抜ける。
同じことをやっている人間が多いためか、駅員は初日なのにもかかわらず見せられた120円切符を慣れた様子でチラっと見ただけでパス。コレには流石に拍子抜け。


30分ほど前から乗車位置に並ぶ。
一本前の厄神行きは、125系の単行。やはり激混みで発車していった。


待っている間、隣に並んでいるオッチャンと鉄話で盛り上がる。

皆が大回り乗車組のようだ。考える事は一緒なのだろう。

30分前の時点では誰も並んでいなかったのだが、発車10分前にふと気付くと後ろに長蛇の列が出来ていた。こんなに乗るのか。


やがて、3分ほど遅れて折り返し西脇市行きの電車が到着する。

・・・125系一両編成。


ドアが開き、詰め込まれていた乗客が物凄い勢いで吐き出される。
が、いくら人が降りても、まだ人が降り切らない。ひたすら降り続けるのである。
よくぞまぁ、この一両こっきりの車両にこれだけの数の人間が乗っていたものだ。

全員が降り切るまでに、たっぷり2分は掛かったように思える。
乗客には普段から乗っていると思われる婆ちゃん、爺ちゃんも多かった。彼らにとって、この異常なまでの混雑は余りにも酷すぎるのではないだろうか・・・


先頭で並んでいたのに結局座れず、最後部の車掌スペースに居る事にする。
ここは立ち入り自由となっているようで、おあつらえ向きの場所であるのだが、皆考える事は一緒のようで、先客のヲタさんが数名。
あと2,3人は入るスペースがありそうだったので入れてもらう。


ここで同じ学研都市線ユーザーの大学生の方と会い、西脇市までの45分間いろいろな話になる。
それはいいのだが彼、話し出したら止まらないようで・・・少しは景色見せてくれ。

国道の話をするのはいいのだが、「4**号線」「3**号線」などと数字だけで言われても1号線から12号線までの基幹国道くらいしか知らない私のような者にとっては正直、何がなんだか分からないわけで・・・。
それをあたかも「as you know」のような態度で話されるものだから大変である。

自分の常識、他人の非常識。

いや、決してその大学生の方は悪い人ではないのだが・・・


気が付いたら西脇市に着いていた。乗客数は、加古川発車時と殆ど変わらない。

電化したからといって景色が変わるわけではないのだが、車内を観察したり外を見る暇が無かったのは少し残念である。


西脇市では跨線橋を渡って、向かいの3番のりばから発車する谷川行きに乗り換える。勿論の事ながら単行である。

今度は先ほどとは逆に、先頭運転台近くに居ることにする。

理由は簡単。実はこの125系、0.5M0.5Tという特殊なMT比の車両なのだ。
普通の電車だと、電動車・要するに「モハ」「クモハ」と表記されるモーター車には2個の台車に2本ずつ、4本の車軸があってその4本全部にモーターがついている。
が、この125系の場合は谷川方の台車にある2本の車軸のみにモーターが付いていて、加古川方の台車にはモーターが付いていない。要はこれが「0.5M」なのである。

そのため、モーター音を聴くなら加古川方ではなく谷川方先頭部に居ないといけないという訳だ。


ヲタの方々の写真撮影も済んだようで、電車が動き出す。


つい一ヶ月前に単行の気動車で辿った道を、新型車のモーター音を聴きながら走る。

西脇市から先、谷川までの今乗っている区間は数年前のダイヤ改正で大幅減便があり、一日僅か9往復にまで列車を減らされた区間なのだが、この区間も電化の対象になった。
廃止するほどではないが、かといってこの区間だけディーゼルカーを残すのも運用上都合が悪いのであろう。


先ほど加古川駅で話していた方と再び会い、話をしていると先頭で運転席後にかぶりついていた方が話に参加してきた。私と同年齢らしい。
いつも使っている電車の区間だけで学校を特定されてしまった。流石、である。

その後も様々なネタで会話が弾む。「あんたオモロイ」という、関西人にとっては栄誉以外の何物でもないお褒めの言葉を頂いた。

意外にも日本へそ公園では、周りに何も無いのに10人近くの乗降があったようだ。
結局ここ以外での乗降は、新西脇と久下村で少しだけ・・・という程度だったようだが。

景色を見ながらその場で会ったばかりの3人でしばらく話し込んでいるうちに、何時の間にか谷川。
すぐに話が合うというのは、同じ趣味を持つ物同士の強みである。


谷川到着、またも撮影タイムになる。しかし、本当に人が多い。
普段の大回りの時では自分の他には2,3人の僅かな地元民の方のみ・・・といった状態ばかり見ているので、異質に映る。この山間の小駅に、今日ばかりは100人近くのヲタな方々が一斉に降り立っているのだ。
まぁ、ここまでヲタが乗るのは今日限りで、一週間もすれば「いつもの加古川線」に戻るのであろうが。


大回りの旅はまだ続く。
谷川からは113系3800番台の普通列車
ただでさえブサイクな先頭車化改造のうえ、先頭にシカ除け板を付けたある意味「どうしようもない車両」である。

ここでは何とかボックスシートに座ることが出来、先ほどの同級生の方と西脇市までの車中でお世話になった国道な方と同席に。
ここでも福知山線の渓谷美を望みながら、話が弾む。


篠山口では丹波路快速に乗り換え。
2両から4両の乗り換えなので、普段ならほとんどの人が席にありつけるのだが今日ばかりは様相が異なる。結局座る事は出来ず、先ほどの2人と一緒に立席となった。

国道な方から「川西池田で写真撮影でも」という提案があり、賛同。

たまたま来た381系で運転される「かにカニ北近畿4号」や207系快速などを30分間のうちに撮影後、一本後の丹波路快速で尼崎に到着、大回りは終了。


ここで同級生の方は新快速で神戸方面、国道な方は新快速で大阪方面、私は東西線学研都市線方面と3人全員が別々の方向に分かれることとなった。


#結局ずっと話してたってことですかね