聖戦1日目

<昨日の日記のつづき>

ムーンライトながら92号は、定時に大垣を発車。雪の残る大垣を後に、東海道を東へと突き進みます。


車内には明らかにそれと分かる同業者が多数。いやぁ、実に香ばしいですね。うんうん。


大垣を発車して間もなくの頃から、私は一人洗面所にてデジカメの充電。敦賀の時点で赤ランプが点灯している以上、こうしないと流石にヤバイのです。

そんなことをしているうちにも列車は各駅で客を拾いながら、闇夜の東海道をモーター音も高らかに爆走していきます。同じ区間を走る東海の新快速に負けずとも劣らない、なかなか素晴らしい飛ばしっぷり。

デッキには何時の間にか指定券不所持のお客が続々と溜まり、段々とカオスゾーンになってきました。
それにどのデッキの客も例に漏れずコミケカタログのようなものを集団で読んでいるものですから堪りません。何この異次元空間。

名古屋を過ぎた辺りで充電を撤収して自席に戻ると、同行の7人は大富豪で静かに盛り上がってました。とりあえず声のトーンを若干下げるように注意して、席に座ります。夜行列車ですからね。


席に座り、寝・・・る間もなく年賀状描きです。家で終わらなかった仕事は外に持ち出すのみです。
結局豊橋辺りまでひたすらお絵かきを続け、終わるや否や即爆睡。





・・・で、隣の友人に起こされるとそこは品川でした、と。爆睡もいいところです。


急いで洗面所にダッシュし、歯磨きと洗顔を済ませるともうそこは新橋。席に戻って荷物を整理し終わった丁度その瞬間、電車はまだ真っ暗な東京駅のホームに滑り込んだのでした。


皆が始発電車に間に合わせようと猛然と京葉線ホームに向かう中、私達の集団は丸の内南口のコインロッカーへ。何せ私達は2泊3日分の荷物を抱えてるわけで、こんな大荷物を持ちながら聖戦に参加するわけにはいかないのです。聖戦はフットワークが命です。


入れ替えに手間取っているといつしか時間は過ぎ、荷物を入れ終わったときにふと気付くと京葉線2番電車に間に合うかどうか極めて微妙な時間になっていました。


現在時刻5:05。りんかい線始発接続最終(何この微妙な表現)の京葉線普通発車時刻、5:11。

改札を抜けて時刻は5:06。うわ、ヤバイんじゃないのこれ?



ちょっと考えた末、指令一発。  お 前 ら 、 走 れ 。 


いや、だってアレですよ。始発電車10両編成1本に混雑率300%として大体4000人が詰め込まれるわけですよ。どうせ客はみんな国際展示場で降りるわけですよ。そうなると、待っているのは「始発電車に乗れない=4000人に遅れを取る」、というイヤンな結果です=つーわけでアレだお前らとにかく死ぬ気で走れ!


というわけで、他の同業者と一緒に猛ダッシュで京葉ホームへ。京葉500mオタクレースです。動く歩道をすっ飛ばし、階段を駆け下り、走りに走って目指すは地下4階。


結果、何とか全員が5:11発の201系普通蘇我行きに間に合う事が出来たのでした。

ここで201系を見たときに非鉄な仲間の一人が私に対して言った、「なんや、神戸線と電車一緒やん」という一言を私は決して忘れません。
まぁ、見事にその通りなんですけど。あ、そのうち「環状線と一緒やん」になるよ!


その「神戸線と同じ」201系のチョッパ音を聴きながら、新木場へ。電車はトンネルを抜けると、綺麗な東京の夜景を望みつつ海岸沿いを走ります。


やがて、新木場のホームに滑り込む電車。ドアの前には、既に列が出来ています。

電車が完全に停止。一呼吸置いてドアが開くや否や、その列は一斉に車外へと、異様な空気を纏いながらなだれのように出て行くのでした。そして私もそのうちの一人。嗚呼。


行列が出来る前に、颯爽と7人分の18切符を見せて有人改札を突破。激しくコーナリングするとりんかい線改札は目前、すかさずいつも使っている定期入れを取り出し、いつものICOCAを改札機に激しく叩きつけます。大阪で買ったICOCAで東京の一私鉄の電車に乗れるなんて、便利な時代になったものですね。とぉっ。

一人とはぐれたりするハプニングがあったものの、何とか皆揃って無事に同じ車両に乗ることが出来ました。


・・・いや、「無事」という一言に関しては、かなり間違っているかもしれません。


私達が電車に乗る前に居たのは、島式ホーム一杯に広がっている乗客の列の最後尾。

やがて、東京テレポートにある車庫から回送されてきた電車がホームに入ってきます。車両は70-000系りんかい線自社車両。


扉が開くや否や、一斉に車内に突撃する同業者達。この空間に一般の人は、まず居ません。


私達が乗り込んだ後も、次から次へと人間が電車と云う名の箱の中へと詰め込まれていきます。乗り込んでくる、のではありません。詰められてくる、のです。乗車率、まず間違いなく300%ほどはあったと見て差し支えないでしょう。流石東京、朝早くからこんなに電車に人が乗るもんなんだなぁ・・・なわきゃねーだろ。世の中には諸事情、と云う言葉があるのです。

それでも列の整理が上手かったのか、酷さは去年よりは間違いなくマシでした。

去年は座席の支柱のパイプに体が食い込んで死に掛けてましたからね、私。身長163cm、体重50kgはどう考えても食い込むような体格じゃないはずなんですけど。


当然ながら乗降客ゼロで東雲を過ぎ、いよいよ運命の国際展示場。電車は地下に入っていき、段々と車内に緊張が走り始めます。

ゆっくりとブレーキ、やがて停車。ドアがひらk


バン!という恐ろしい音と共に、一斉に全ての乗客が電車のありとあらゆるドアから飛び出してきます。皆が目指すは、国際展示場唯一つ。

コミケシーズン名物、壁面にひたすらソレ系ポスターが貼り倒された階段を昇ったところには混乱を避けるためパイプで仕切られた通路が。駅員氏の必死の誘導に従い、順路どおりに高速で改札口を目指します。私の眼前でみるみるうちに人が溢れていき、改札口が地獄絵図になっていくのが分かります。
毎年思うことなのですが、この無駄に物凄いヲタパワー、何かに平和的活用できないんでしょうか。凄い威力を持ちそうです、いろんな意味で。


そんな中を気合でくぐり抜け、改札口にイコカタッチ。目指すは西ゲート!

同行のヲタ仲間とはぐれないよう気を遣いながら、人波に流されるまま夜の明けない埋立地を早歩き。周囲に揉まれながら動いていく列の先を見遣ると、あの特徴的な逆三角形の巨大な建物が少しずつこちらへと近づいてくるのが見えました。

右へ左へ、うねりながらも列は進みます。ゆりかもめの高架とその背後の逆三角形が真正面に見える頃、ようやく列は静止。


空には満天の星空、三日月が隅の方に浮かんでいます。これがコミケの入場待機列じゃなけりゃ、もっと感動的に見えたのかもしれません。

<つづく>