雪の鞍馬と叡山電鉄レポート

今朝起きたら急にどこかへ行きたくなったんです。発作のような感じで。
鉄ヲタの宿命とでも言ったものでしょうか。

・・・というわけで、京阪電鉄発行の「鞍馬・貴船1dayチケット」を使ってちょっと鞍馬まで足を伸ばしてきました。
山が俺を呼んでるぜ。うそうそ。


京阪の乗車駅〜出町柳までの往復切符と叡山電鉄乗り放題がセットになったこの切符、枚方発着で大人1480円。
枚方市出町柳〜鞍馬を普通の切符を買って行く場合830円×2の1660円必要なので、往復しただけでちゃっかりモトが取れてしまうというかなりの優れモノ。


というわけで、バスで枚方市駅まで出て駅の事務所で1dayチケットを購入して11:51発の特急に乗車――。

来た車両は8000系「静」編成。車内はそれなりに混んでいるので先頭で立って暫くカブリツキ。
市内を走っているのに、乗るのは非常〜に久しぶりな京阪電車。去年の11月以来、随分とご無沙汰だったのでなおさら新鮮に映る。

樟葉で近くの席が空いたので着席。さっき駅前で買ったチキンフィレオにかぶりつきながら前面展望を満喫。いつものJRのスピードに慣れているとやはり物足りない感じがするのは否めないのだが、そこは私鉄ならではの高加減速でカバー。
気持ちいい晴れで、京都日和・・・と思っていたところ、市内に入って段々と曇りだす天気。オイオイ。

立ち並ぶ京風町家の家々をかすめ、JRの京都駅が車窓に見え隠れし始めるとまもなく地下に。七条、四条、三条と停車して終点出町柳へは枚方から32分で到着。ここまで来る乗客は余り居ないようで、到着時点で車内に残っていたのは数人。

すぐに改札を出て乗り換え。出町柳名物(迷物?)「動く歩道もどきエスカレーター」を通り、地上に上がってすぐ目の前にあるのが叡電出町柳駅

中小私鉄ながら「スルッとKANSAI」にも加盟しているので自動改札・自動券売機完備。しかも自動改札、京阪の中古かと思いきやきちんとしたバーレスタイプ・・・。


停まっていた鞍馬行きに乗り込む。車両はデオ800形、周囲の自然環境をイメージした絵が車体に描かれた「こもれび」と称するラッピング車両。
ただしこの車両のラッピング、かなりド派手で「こもれび」と云うよりは「ジャングル」のイメージのような気がしないでもないのだが・・・(苦笑)

2両編成の列車は、座席が程良く埋まる程度のお客を乗せて出町柳駅を出発。
民家の軒先をかすめながら走る様は、あたかも路面電車のよう。擦れ違う電車は意外に多く、結構な頻度で走っていることを裏付けている。
鞍馬線・本線ともに15分に一本の運転なので、宝ヶ池〜出町柳間は一時間に8本もの列車が走り「待たずに乗れる」と云う感じの雰囲気。沿線には大学もあり、見た感じでは地元の足として結構な利用があるようだ。


その宝ヶ池で叡山本線と分岐し、鞍馬線は更に北へと向かう。
やがて雪の残る山が目の前にその威容を現しはじめ、木野のあたりでは線路沿いに僅かながら残雪が見られるようになった。
地元のお客は大分減り、後に残ったのは鞍馬まで乗り通しそうな雰囲気の観光客ばかりに。一両に15人ほどで、大河ドラマの影響が出るのはもう暫くしてからなのだろうか?

かなり前、紅葉の時期に行った時はどの列車も軒並み満員御礼で、特別ダイヤを組んで運転していたような記憶がある。雪の鞍馬は、紅葉ほど人を寄せつけないのかもしれない。


二軒茶屋を出て単線になると電車はどんどん山間へと入っていき、カーブや急勾配が多くなってくる。
何時の間にか車窓に流れる民家も減ってきたようだ。

急坂をやっとのことで登りきったと思いきやすぐ下り、急カーブとアップダウンを繰り返しながら山間の小道を進んでいくさまはあたかもジェットコースターのよう。
一部には40パーミルにもなる急勾配も存在する叡山電鉄、ちょっとした登山電車の雰囲気すらある。

線路沿いや線路上には、いつの間にか積雪が見られはじめるようになった。
一面の銀世界・・・とまでは行かないが、山間の余り陽の当たらない場所なのでまだかなりの雪が残っている。

列車は雪を供に、鞍馬川に沿いながら山間の谷間にある小径を踏みしめるように登っていく。
駅全体がすっかり真っ白に染まったニノ瀬で「きらら」と行き違い、さらに京都の奥座敷へと歩を進めていく。


鞍馬の一つ手前、貴船口でふらりと電車を降りる。これもフリー切符の恩恵。

ここのホームから雪を被った山をバックに列車を撮る、というのは有名な構図なのだが絵になるほどの雪は無く断念。
しかしこの駅周辺、ロケーションが非常に良い。他にも良い感じに写真が撮れる場所はありそうなので、後でもう一度来てみることにしよう。

15分後に来た電車で一駅、終点の鞍馬へと向かう。やはりデオ800形だった。


電車は再び雪の積もった山中の細道を曲がりくねりながら進み、数分で終着駅・鞍馬に到着した。

ドアから一歩外に出ると、粉雪が舞っている。
そう云えば「京都の平野部が雨でも、鞍馬は大雪のことがある」とどこかで聞いたことがあったような。

改札をくぐり、駅舎を振り返る。
いかにも歴史のありそうな鄙びた木造駅舎は雪を被り、周囲の風景と見事なまでにマッチしていた。


駅を後に少し歩くと、鞍馬寺の参道入口に着く。

石段の部分は除雪されているが、参道脇には真っ白な雪が積まれていた。

門をくぐるとすぐにケーブルカーの乗り場があり、それに乗ってかなり上まで上がることが出来るのだが折角なので歩いて上を目指す事にする。

参道を登っていくにつれて、だんだん雪の量が増えてきたようだ。
何時の間にか石段ではなく20度ほどの急傾斜を登っていた。雪はかなり多く、中央部分は踏み固められているのだが隅の方は降ったままの状態で残っている。

どちらにしろ非常によく滑り、登りにくい。スパイクを履いて歩いたら少しは楽になるのだろうが。

そろそろと樹林の中の急斜面を登っていくと、やがて道はつづら折りになる。

朱色の灯篭が等間隔に並べられているのだが、この朱色と雪の白色のコントラストが非常に美しい。目を奪われる、とはまさにこのような事を指すのだろう。

そう云えば「京の冬の旅」のポスターでもこんな景色あったよな、と思いつつ歩を進めていく。


木々の葉に積もった雪が時折上から落ちてくる中を滑りかけながらひたすら登り続けること数十分、ようやく本殿に辿り着いた。

辺りを見回すと、やはり下とは雪の積もっている量が違う。
数日前に比べると大分融けているようだが、それでも積雪はゆうに20センチ以上はあるだろう。今も粉雪が舞っている。

本殿に参拝後すぐ山を降りるのも勿体無いので、暫く休む。雪を見ると心が落ち着くのは何故なのだろうか。

本当なら更に奥の院に行くという手もあったのだが、入り口に脅し文句のように「非常に滑りやすくなっております!」と書いてあり、更にその奥に鬱蒼とした暗〜い道が続いていたのを見て辟易してしまい、すごすごと退散。流石にお参りに来て死にたくない。

帰りはケーブルカーに乗ってみよう、ということで先ほどの参道を途中まで戻った後道を別れ、ケーブルカー乗り場へと向かう。やはり木々に付いた雪、灯篭の朱、地面の雪のコントラストが卒倒しそうなくらい美しい。来て良かった、本当。

ケーブル乗り場で100円を支払い、すぐに発車すると言うケーブルに急かされながら乗り込む。
因みにこのケーブルカー、「日本一短いケーブルカー」として知られている。但し、「日本一〜」の定義は色々あってややこしいらしいのだが・・・。

ケーブルカーは一気に急斜面を下り、先ほど苦労して登ってきた道のりを一瞬で戻ってきた。

鞍馬寺参道を後にして、鞍馬駅へと戻る。

決してネギま聖地巡りに行ってた訳じゃないんですが、この辺ってこのかの生家があって刹那とはじめて会ったとこじゃないんですか?ってこんな所まで来て一体何を云ってるんですか私は、アイタタタ・・。

鞍馬駅から再び叡電に乗り込み、ふらりと二ノ瀬で途中下車。
雪が線路上に敷き詰められた交換駅の雰囲気に惹かれ、つい降りてしまったのだ。


出町柳方面も、鞍馬方面の電車も今行ってしまったばかりの駅は静寂そのもの。
次の列車が来るまでの暫くの間は、人は寄ってこない。

その静かなホームで、何をするわけでもなく列車を待つ。山の空気が心地よい。ともすると、このような「贅沢な時間」というものが欲しくてここまで来たのかもしれない。

やがて来た鞍馬行きの電車が「きらら」だったので、乗り込む。
先ほども降りた貴船口で下車。さっきはホームをうろつくだけだったが、今回は周辺散策もしてみることにする。
駅と直結して何でも屋的商店が一軒あったが、切符の取り扱いなどをしているわけではないようだ。駅の出口脇の道にはすっかり風化した京都バスのバス停があり、「11月末〜春分の日まで運休」の張り紙が風に吹かれていた。道路が雪で閉ざされるためだろう。

駅周辺の一車線の狭い道路から線路が望めるので、ここから撮影を試みる。
山間なので露出が厳しく、流し撮り一発勝負に賭けるしかない。

その結果がトップの写真なのだが、肝心の雪が入っていない。あちゃー・・・


再び電車に乗り込み、雪の山道を下っていく。鞍馬の山が後ろに遠ざかっていく。
また来年、今度はもっと行きの多い時期に再び来たいものだ。

その後宝ヶ池で電車を降り、鞍馬本線(と言っても、本線の列車は1両・鞍馬線の列車は2両と明らかに輸送は鞍馬線重視なのだが・・・)の八瀬比叡山口へ向かう。乗客は数人。

この電車が終点に着いた時点で、叡山電鉄全線完乗を達成。

少し行ったところにはケーブルカーがあり、これとリフトを乗り継ぐ事で比叡山の頂上へと行く事が出来るのだが駅前の状態からその経営状態は容易に悟る事ができた。比叡山へわざわざ電車を乗り継いで行く人間は今や物好きの部類なのだろう。


来た時と同じ、単行の電車で折り返す。
やはり僅かな乗客を乗せ、宝ヶ池からは若干の乗客を増やしつつ出町柳着。


出町柳からは、始発の京阪特急で枚方市までは一本。来たのは「弁慶」編成。
久しぶりなので、ダブルデッカーの2階席に乗車してみる。視点が変わるというのは、やはり面白い。


・・・暫く寝ていたようだ。目が覚め、ぼんやりと辺りを見回す。
どこかの駅に停まっているらしい。樟葉?と思い同じ視点高さにある駅名標を見ると・・・

枚方市

うわやっちまったorz

速く降りねば、と思った矢先に下の方でドアの閉まる音が聞こえてきたのは云うまでもない。

京阪特急はこの先大阪・京橋まで15分間停まらない。何てこった・・・。


結局京橋まで強制送致され、2600系準急の奏でる窓ガラスのバタバタ振動と爆音モーターの織り成す時速110km/hのオーケストラを聴きながら枚方へ再び舞い戻り、京都奥座敷への小旅行は終わったのだった・・・。


うー、やっぱり書くの疲れた。。